東京バンドワゴン

小説なんだけど、文化ということでこんなカテゴリーに。
ど、どうなんだろ…。



東京バンドワゴン (集英社文庫)

東京バンドワゴン (集英社文庫)

昨年に文庫版が出版された小路幸也作のほのぼのミステリー。(?)
下町に古本屋(と併設されたカフェ)を営む8人の大家族とその周りのドタバタのおはなし。
なんというか、空気感?かなあ、ストーリーそのものももちろん楽しいんだけれど、
登場する堀田家の面々それぞれのキャラクターが僕は大好き。
中年にして大物ロックンローラーの我南人(ガナト)、
その親父で古本屋の旦那を務める勘一に、我南人の息子紺と青、
そのお姉さん藍子、その息子の研人、紺の奥さんの亜美にその娘の花陽と
多彩なのにも関わらずその誰が主人公というわけではなく、あくまで「堀田家」のおはなしとして描かれているのだ。


ちなみに小説自体は数年前に他界したはずの勘一の妻、サチが霊となって堀田家を見守っており、
その目線で進行している。このへんが東京バンドワゴンの特徴であり魅力かな。
あくまでサチの目線なので、感覚もサチのもの。たとえば今僕が書いてるブログであっても
「なんでしょうかね、インターネットに載せる日記でしょうか。日記なんてものは人様に見せるものではないと思うのですが、今はそうではないのでしょうねえ」
と表現されている。なんか好きだなぁ、うん。


基本的にはそんな堀田家に持ち込まれるトラブルを、解決していく体になる。
簡単な探偵業務もやってる古本屋って、やっぱり小説っぽいけどわくわくするよね。


とにかく雰囲気と空気であったかくなれる本。
ここ1年で読んだ中で一番気に入った本なので、ぜひぜひ読んでみていただきたい。
ちなみに今は第二弾(待望!!)の「シー・ラブス・ユー」が刊行されてるので、そちらもどうぞ。



家族って、いいなあ。