ぼくの大切なともだち
偏屈な美術商フランソワは、とあるパーティで仕事仲間にこう言われる。
「あなたには友達なんていない。ここにいるのは仕事の知り合いだけ」
「そうだ、きみの葬式に出る人間なんて誰もいないさ」
愕然としたフランソワはすかさず
「何を言うんだ、友達なんていくらでもいる。
なんならそのたくさんの友達をここに連れてきてやろうか。
私には親友がごまんといるんだからな」
「なら」
「今月中に連れてきて。その『親友』とやらを」
あなたには「親友」と呼べるひとがいますか?
知り合いではない、うわべだけではない、一生続く本気の付き合い。
そんな友達と呼べるひとを、あなたは持っていますか?
すぐさま「います」と答えられるあなたは幸せなひとです。
それはきっと相手もそう思ってくれていて、
もし仮に相手に同じ質問をしても「います。彼(女)です」と即答するでしょう。
でももし、
「彼は親友だ」
「えっ、違うよ。君とは親友なんかじゃない」
と言われるとしたら?
どきり、と来るひともいるはずです。
実は自分には本当の友達なんていないんじゃないか。
コミュニケーション能力がどんなに優れていても、
うわべだけの知り合いは学生時代の仲間にはとてもかなわないんじゃないか。
僕には、本当にそんな人がいるのだろうか。
改めて、ひととのつながりを考えさせられます。
人によっては、この映画前半部分はあまりのリアルさ、痛さに直視できないこともあるかもしれません。
人は一人では生きていけません。誰かと一緒にやっていくことで、はじめて成し遂げることも少なくないはず。
「他人」から「知り合い」に、「知り合い」から「友達」に、そして「友達」から「親友」に。
コミュニケーションというものの大切さを、いちから考えさせられます。
フランソワに、本当の意味での友情を見つけることはできるのでしょうか。
観終わったあと、誰かと触れ合いたくなる作品。
家族と、恋人と、そして「友人」と、コーヒーでも飲みながら観てください。
フランソワは、決してわるいやつじゃないんです。