ダンサー・イン・ザ・ダーク

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]

底抜けに明るい夢見がち女性の、底抜けに暗い救われない映画。
生まれつき目に病気を持っているセルマは、
一人息子の成長とミュージカルが楽しみな独身女性。
自分の目の病気はいずれ息子にも遺伝するということで、
高くない賃金でもこつこつ貯金し、手術代にあてるために工場で働き続けるのです。
そんなセルマに迫る残酷な運命。これは本当に辛すぎる。


僕的にはこのセルマはふわふわと浮いているような女性で、実際いたらウザいか本当の不思議さんかどっちかだと思うのだけれども、この映画を見る限りでは非常に美しい女性で、それでいてつかみどころのなさは彼女の存在の薄さをしっかりと感じられる。それはつまり存在しているのだけどもいつ消えてもおかしくない儚さを持ち合わせているわけで、その影響力はそれこそ波紋のようなもの。そんな彼女をしっかりと認識できているのは芯に息子に対する深い愛をすえているため。
そんな幽霊のような彼女にとてもとても厳しい痛い辛い現実が零距離で迫ったとき、彼女は果たしてどのような行動に出るのか。


それにしても悲しすぎる映画。
僕もー感情移入しまくって大学のAVブースで泣いてたからね。陳腐かもしれないけど、彼女の内包する「絶対的な愛」がとても衝撃を受ける。ぜひ一度見てほしい。



そしてもし観たのならば、スタッフロールも最後まで見てあげてください。
彼女に想いを寄せてあげてください。


終わっても心の中に波紋が残る、そんな冷たく美しい映画。