楽だけど気が引ける。








覚悟を決めて引越しのバイトをすることになりました。
今日はいい天気で実に引越し日和。しかし筋力は最近サボっていたためコンディションも悪く、これから仕事となるとちょっと憂鬱。(´-w-`)
しかも階段なし4階ということで、こりゃまさに地獄だなと思ったわけです。




基本的に力はそこまであるわけでもなく、
体が小さいから腕短いということで大きい荷物も物理的に持てず、
まぁマイペースなりに全力でやるのです。えっさ、ほいさ。


基本的に引越しの要領というのは決まっていて、僕もそこそこ経験あるので段取りはわかっているのですが、
「引越し経験ある?」
「はい! 2回ほど!」
超ウソついた。ホントは20回はいってる。




衣装ケースを運んでいるときのことです。
僕が必死こいて箱3つ、しかも中身はアルバムだとかの本類なので脅威的重さを持って階段を降りていくとき、先輩はなんと衣装ケース3つを腕の長さ限界のところで持っていたわけです。
「ちょ、ちょっとそれ危なくないスか?」
「だいじょうぶだよ、それよりお前も早くこい」
ふむ。まぁベテランだし大丈夫だろう。
なんて思ってたら下から、つまり先に行った先輩のほうから


どんがらがっしゃーん。


コントか。って思いつつもだいじょうぶっすかーなんて言って下を見てみると、
足をかかえてうずくまる先輩。
割れた衣装ケース。
にじむ血。



すっころんだーッ!


ほらいわんこっちゃない。なんて言ってる暇もなく、慌ててかけよる僕。
先輩はぶっちゃけ、息も絶え絶え。
「救急車呼びますよ! いいですね!?」
「待て…会社に連絡すっからケータイもってこい」
ええー、腫れてパンパンになった足でそんなこと言うか。
うう、とにかく指示に従ってケータイを車から持ってくる。会社へ電話する彼。



結果、代わりの人間が3人ほど来ることに。それまでは作業ストップということで、休憩になりました。
だけど健康な僕が突っ立ってるのも悪いので、とりあえず持ってこれるもんだけトラックに持ってくることに。えっさ、ほいさ。うー、汗だく。つうか、階段辛い。亀仙流の修行か。みたいな。引越し業者ってスゲー。



ひと段落ついたので、スポドリ飲んで休憩。
そんとき先輩と話してたんですが、
「俺さ、本業はレーサーなんだよ」
腫れた足を眺めて彼は言います。
「あれだけじゃ食ってけないってんでバイトしてんだけどさ……全然休ませてくれなくて、今日も風邪引いてたんだ」
あれちょっと言い訳モード入ってない?
「だけど、これでしばらく走れねぇよな……あーあ、失敗しちまった」
僕一応注意したんすけどね。
「うーん、その足だと確かに厳しいかもしれないっすね」
「チクショウ……今日休めばよかった。こんなところで」
ってか持つときに無理しなきゃよかったんすけどね。


お客さんも心配してくれて、なんとかテーピングとかで処置してるうちに代わりの人間到着。
「会社から聞いてる。今日は俺ら3人でやるから、お前は帰れ」「悪ィ」
そんなやりとりを聞きつつ、ふと一人がこちらを向きました。
「で、こいつ誰?」
え。
「あぁ、今日のバイトの子だ。今日一日雇ってるから使ってやってくれ」
「ふーん……いや、会社からは3人でやれって言われてるんだわ」
「そうなのか」
「どうすっかなぁ……」
あれ。ちょっとまさかこの流れは……
「よし、お前も今日は帰っていいよ。サインするから着替えちゃって」
キター!





つうわけで地獄の引越し、11時半に終了。
喜んじゃいけないところなのですよ。なのですけども、えへへ、その、終わったー。




冗談はともかく、レーサーの彼には早く復帰してもらいたいもんです。