進め 進め 派遣者たち




赤羽の警視庁にある書類(段ボールにしておよそ600箱)を5階からトラックに下ろし、それを見送ったのちに他署からきた段ボール(およそ650箱)5階に上げるという、地獄としか思えない仕事を僕たち27人で行うことになったのです。
ひとつ10キロ程度(可変)の箱をリレーで5階ぶん動かすということで、階段に1階4,5人を設置し27人を総動員。
それでも600箱などという数を運ぶというのはこれまでにない重労働で、「割合わないッスよね」「つかありえなくねー?」「早く帰ってアニメが見たいです」などの不満が相次ぐ始末。
でも仕事は仕事ですから。
終わらなければ帰れません(アニメも見れません)。
頑張ってやりまっしょー!



「ほい」
「はい」
「ほい」
「はい」
「チョイ重です」
「はいチョイ重」
「これ軽いです」
「投げていいです」
「普通です」
「はい普通です」
「クソ軽いです」
「投げ捨てていいです」
「これめっちゃ重いです」
「はいこれ空から落としていいです」
「ほい」
「はい」
「ほい」
「はい」
「オレ今日生理なんスよねー(男)」
「あそうなんだ。じゃあ早く帰らないと」
「ホントに早くしないと」
「破水しちゃう」
「オレも破水します」
「オレもです」
「1階部隊から3階部隊、全員破水」
「やべ、産まれそう」
「はい2階佐藤さん、出産しました」
「出産しました」
「元気な女の子です」
「元気な女の子です」
「アフロです」
「アフロでした」
「名前は鈴木です」
「本名佐藤鈴木ちゃん産まれました」
「左手がないです」
「右手もないです」
「足すらないです」
「あんなもんは飾りです」
「頭もないです」
「人ではないです」
「ほい」
「はい」
「ほい」
「はい」
「…腹減ったッスね」
「休憩ねえからなあ」
「さっきの女社員でも食いますか」
「女体盛りッスね」
「いや、むしろ肉食う」
カニバリズムッスね」
「モツまで食う」
「飢えすぎッスね」
「もうなんでも食える」
「オレもッスよ」
シリカゲル(食べられません)とか」
「レゴ(飲み込まないようにしてください)とか」
「女体とか」
「この箱とか」
「あぁこの箱いいね」
「おかわりいっぱいあるし」
「食いホじゃね?」
「時間無制限じゃね?」
「ほい」
「はい」
「ほい」
「はい」
「もう全員脱臼とかすればいんじゃね?」
「そうッスねあいたたたたたたた!」
「うわー小林さんの腰がえらいことにー(棒読み)」
「あたたたたたた!」
「小林さんの腕と足と首まで脱臼ー(棒読み)」
「マギャァァー」
「前身脱臼入りました」
「佐藤さんの破水、未だ続行中です」
「4階の山口さん、出産入りまーす」
「おめでとでーす」
「おめでとでーす」










これ全部掛け声(実話)です。