寝っころがって、たわいもない話してさ。




大学講義最後の日。一緒に受けている友達なんかもかなり離れ離れになり、今はたまに連絡をするかな、くらいです。
それでも、僕は基本に忠実に居眠りをし、ポケカのデッキを考えたりして企業戦略論を終えたのです。それでいいのかホントに僕。



講義が終わったのは昼なんですが、それからは振り替え休日になった彼女と待ち合わせ。
なにをするでもなく散歩をすることにしました。
ほっかほっか亭で弁当を買い、自転車置き場がある川辺にやってくる僕ら。
土手に座り込みながらお弁当を広げ、どうでもいい話をゆったりと、ただなんとなく進めます。


川には鴨が戯れており、僕は弁当を食べ終わると鴨を追い始めました。
当然逃げる鴨たち。あゆもとてとてとついてきます。
僕はアホみたいにブロックを上ったり降りたり溝をジャンプして越えたりして、とにかく何の目的もなく遊んでいました。




もうこういう時間もなくなるんです。
だから、今のうちに精一杯遊んでおかなくちゃ。




ブックオフで立ち読み。ドラクエ6のガンガンで連載してたマンガを読破。ついでにいいひと。を貪り読み、ラーメン発見伝にまで手を出す始末。
あゆはあゆで「カレカノ」にどっぷりハマっているようす。
僕はいつもこうして、彼女の会社が終わるのを待っていた気がします。
思えば、これも小さな楽しみでした。



夕方にもなると冷え込んでくるもので、今度はアジア雑貨「マライカ」を覗きに。
最近アジア雑貨見てなかったな、と懐かしみつつ、ターバンや靴、アクセサリを見てまわります。そういえば、付き合い始めたころはアジア雑貨にハマったなぁ。あのころは家族もみんないて、ムスクのお香焚いたら「お寺臭い」って親父に言われて笑ってたっけ。
あゆと一緒に合わせてみたりした結果、彼女はイヤーカフスを買うことにしたそうです。僕も今度何か買おう。


久しぶりに、お香焚いてみようかな。






大学近辺の、小さな思い出が蘇ります。一人でラーメン探検にいったこと、友達と本屋に何時間も立ち読みしたこと、公園で食べる昼ごはんのおいしかったこと、大学で「僕だけの秘密基地」を見つけて暇をそこで過ごしたこと。




彼女に、お礼を言いました。「なんの目的もないのに付き合ってくれて、ありがと」
すると彼女は、「ん、こういうのも楽しいし大事だよ。また来ようね」



…でも、大学が終わってしまった以上、またこんな風にこのあたりを回ることは、たぶんもうないでしょう。
もし今度来たそのときは、行ったことのないところへ寄り道するのもいいかもしれません。




僕の趣味は「お散歩」です。
歩を散らすのです。目的はないのです。



だから、また来ると思います。気がつくと来ている、なんてこともあるかもしれませんしね。