■
気づけよ。
クリスマスも近いということで、僕こと貧乏大学生もぼちぼち精を出して働く意欲が湧いて出てくるってものです。「僕の湧き水」、絶賛発売中止。「僕のワキ水」、絶賛存在禁止。
先週汚い汚いゴミ分別の仕事をもらったかわりに、今日こそはいい仕事くださいよとバイトの事務所にいってあったら、お兄さんは「任せてくださいよ! CHANGさんのためにいい仕事キープしときましたから!」っていい笑顔で言ってくれたのです。電話で顔わからないけど、きっと笑顔のはずです。舌打ちは、きっと気のせいです。
で、僕としては一番いい仕事だと思っている事務所のレイアウト変更が舞ってきたのです。やった…! こいつは早く終わるか残業するかの2択作業! 早く終わっても拘束時間ぶんもらえるし、終わりが見える仕事だから残業だってへっちゃらですもん!
これは100%勇気、もう頑張るしかないさと思ったのではりきって出勤!
社員さんたちもいい人ばかりだし、これははりきるしかないぞう!
で、今回の仕事はとあるビルの4階と5階の内部をそっくりそのまま交換することなのです。手順としては、4階の机やダンボールを使わないエレベーターホールに出し、そのスキに5階の荷物を降ろしてしまい、空になった5階にまた荷物を上げてしまうという形。
段取りも決まったし、人数もそこそこ。目標は、午前中に4階を決めちゃうことだ!
何故か10階にいる僕。
「あ、キミは今日この階の内部変更をするんだよ。ここの階の人の言うことをちゃんと聞くんだぞ」
ワン!
ワンじゃねえよ。なんで僕だけ10階なんだよ。
社員でもないのに左遷かよ。サラリーマンになる前に窓際族かよ。
なんとかと煙は高いところが好きってことかよ。社会人になる以前にそっち系の経験積めってことかよ。
そんな経験、いらない……ッ!!
で、その会社の居丈高な社員の言うことをきちんと聞いて作業をしてたんですね。
すると狭いフロアのくせにやること多い多い。あっという間に時間が過ぎてしまいました。
午後6時。定時です。
あぁそろそろ6時かぁ。でも仕事終わらないなぁ。こりゃ残業かな。
うん、でも年末も近いし、残業頑張るしかないな。こうなったら、とことんやるか!
とかね、獅子奮迅といった感じで机を持ち上げたりワゴンを入れ替えたり、廃棄をトラックに積んだり新規を配置したりと、それはそれは見習いたいくらいの勢いで働いていたそうな。
そして、定時から1時間もすぎた19時05分。
「あれ、バイトくん?」
社員さんです。どうしたんでしょう。
もっと残業してくれってか? いやぁ、参ったなあ。よーし、こうなったら終電まで頑張っちゃうぞう!
「ほかのバイトくんもう帰ったよ。10階のことすっかり忘れてた」
机を窓にぶっ叩きつけた。