新橋に雪が降った日。
ひたひたと落ちる雨に、げんなりする朝。
路面の水たまりに落ちる雨の滴をずっと見ていると、
まるで雨が路面で跳ねているような錯覚に陥る。
ああ、水たまりに映ってるからか。
手がかじかんで仕方がない。
信号は一向に青にならず、肩を縮こまらせて待つ僕は、
なんのためにここに立っているのだろう。
水たまりに映る雨が、少しずつ大きくなる。
ひたひた、ではなく、ぼたりぼたり、となる。
あ…、雪だ。
黒いガラスのビルに、ちらちらと風に流されるそれは雪。
何も知らずに落ちてくるけど、落ちるや否やアスファルトに溶かされ、見えなくなってしまう雪。
昔は泥にまみれて汚れてしまうものだったが、今の東京には土がない。
汚れる間もなく、消える雪。
首を撫でる冷気が、風によっていっそう強くなる。
今年もやっと雪が降ったかあ。クリスマスになんてかけらも降ってくれなかったくせに。
やっと、冬らしい冬がきた。
やることやったから次は春かな。
春かあ。
今年の春は何が起きるかな。楽しみだな。
傘に積る雪の重みを感じながら、そんなことを考えていた。
雪は、やればいいんでしょうやればと言わんばかりに降りしきっている。
その必死さに滑稽さすら覚える。
次降るときは、もっと情緒を感じさせてくれよ?
会社に退職願を出しました。