isigami2005-02-25



実は包みのプロなんだそうです。




雑貨屋の店員ということである程度のお洒落を仕込みつつ阿佐ヶ谷に向かった僕と弟ですが、
あいにくその日は冷たい雨が降りしきる寒い日で、こりゃあ客なんぞ来るわけがねぇ、店を閉めたほうが効率いいんじゃないか、と倉庫をいじり始めたら怒られるわけで。


さて、ドアを開けているので寒いよう寒いようと小動物のように震えながら約束の14時まで店番をしている僕と弟ですが、「滅多にこないお得意さんがきたら失礼のないように」との言葉は「まぁ今日は雨だし来ないよね」と一蹴しのんびりしていました。


「ごめんください」


しりとり(JOJOしばり)をやってる最中にやってきたのはなにやらセレブな奥様。
他の客とは違い、なにやら堂々とした立ち振る舞いで店のものを手に取ってはしげしげと眺め、ラインナップを細かく見ています。
「何かお探しでしょうか」
僕が聞くと、
「オーナーは?」
「オーナーはただ今品切れです」








「…オーナーは?」
「(血まみれになりながら)お、オーナーは本日は店を空けておりまして。本日は私どもがお相手させていただきます…!」
「そうなの。じゃあ、この値札のついてない花は売り物なのかしら? おいくら?」


畜生わざわざわかりづらい商品を指して僕らをいじめるとはなんたる客。さながら小動物を蹴っぽるマングースみたいな、そんな感じです。
資料を見てもわからなかったのでオーナーである母に連絡。ギフトショーの会場にいるので音声はとぎれとぎれです。
「この、先に花のついてる針金みたいなのっていくら?」



「…のつい…針金……くえん」



わかんね。
あげく、
「これ、プレゼントなんだけど。包んでくださる?」とか言い出すマングース
包み方なんか製糸工場のバイトしたとき以来だから覚えてるわけもなく、ただただ慌てるばかり。
うおーお前はレジやってて! え、領収書ですか少々お待ちください品物追加ですかいい加減にしろこの厚化粧マングース!!!




「もういいわ。帰って自分で包むから紙と袋頂戴」







ごめんなさい……