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朝もはよから便器に抱きつく男は好きですか。
今日はバイトの日なのであります。現場は町屋。
荒川区っていいですね。なんだかのんびりとしてて。チンチン電車とかがかたんことんと走ってたりして、近所同士も仲良さそう。
時間がたつのも忘れてしまいそうです。
だから、集合時間に遅れるのも仕方がないんです。わかれ。
建築中のマンションに陶器を搬入してらっしゃいと事務所に言われたので、ほう、一体どんな陶器を扱うのかのう備前かのう瀬戸かのう今川焼かのう。(今川焼は食べ物です)
と、現場についてもまだモノがついてないとのことなのでぼんやりと待つことに。1時間半ほどまどろんでいたらトラックがぶろろろろんとやってくるのでした。
「いやー、混んでてよ。すまねえ」
いえいえ。さて、陶器はっと。
「はい、注文の便器15体」
BENKI
うんこ。
トラックの荷台に乗っていたのは、それはそれは立派な便器さまの一団でした。おまけにカバーやらタンクやらもオプションでついてきやがんの。
んで、それぞれ1個20キロくらいするものなんですが、なんとこのマンションまだエレベーターが出来てない。
5階までの全フロアを網羅して便器を設置することになったのです。
「第1299回、便器配り選手権、スタートッッ!」
時には赤子でも抱きかかえるかのように。時には病人でも抱えるかのように。(高級な陶器だからです)
男たちは便器を腕いっぱいに抱えて走り去っていくのでした。なんだこの現場。